DAVID DUCHOVNY デビッド・ドゥカブニー
コメディ初チャレンジで嬉しかったね、またエイリアンと対決だったけど(笑)
インタビュー・文 山澤 健治
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好漢とはまさに、彼のような人のことをいうのだろう。スター然としない、優しいたたずまい。
名門イエール大学で博士号を目指したほどの知性をにじませる、真摯で的確な受け答え。
すべてにおいて相手をほんわかとした気分にさせる何かが、この人にはある。
奇才アイバン・ライトマン監督の新作SFコメディー「エボリューション」では、すさまじい勢いで進化する地球外生物と対決する生物学者を演じる。
どこか彼の名を一躍有名にしたテレビシリーズ「Xファイル」のセルフパロディーのようだね、とちょっといじわるな質問をしても、覚えたての日本語”皮肉な偶然”を織りまぜながら、嫌な顔ひとつせずにこう答えてみせた。
「昔からの知り合いでもあるライトマン監督から、出演依頼の電話があったときは嬉しかった。役者として、いつかコメディータッチな作品にチャレンジしたいと思っていたからね。
送られてきた脚本もおもしろいし、コレだと思っていたら、15ページくらいから突然エイリアンが登場してくるわけ(笑)。正直ちょっとガッカリしたんだ。
僕は純粋なコメディー作だとばかり思っていたからね。でも、これも”皮肉な偶然”だと思って、出演を決めたんだ。」
コメディーを演じることは、シリアスすぎてもバカすぎてもいけない。そのバランスが難しい、という。実際、ライトマン監督も、彼の絶妙なバランス感覚を見抜いての起用だったらしい。
「僕の映画デビューは、彼が製作総指揮を務めた「ベートーベン」だったんだけど、その頃から僕のことをおもしろいヤツだと思ってたらしいんだ。いつかコメディーに
出演させてみたいって。
でもね、彼、「Xファイル」は観ていなかったらしい。だから今回のことは、ホント、”皮肉な偶然”なんだ。」
ー商業的成功にはこだわらないー
私生活でのパートナーは、女優ティア・レオーニ。
彼女もまた、「ジュラシックパーク3」で恐竜に追っかけられていたね、と話を向けると、「ホント、僕の人生は”皮肉な偶然”ばかり(笑)」といいつつ、話を続けた。
「彼女とは、どちらの映画が商業的に成功したか、といった競争意識はまったくないんだ。
ただ、できうる最高の演技をしたかという点では、お互い、競争意識は常にもっている。
彼女は、もともとコメディー出身。いまはシリアスな演技に傾倒している。僕の場合はその逆。その意味では、お互いの過去の演技と競争している面はあるかも。」
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