Saturday, May 14, 2016

Cinefantastique April 2002

David Duchovny's Grace Notes

The X-Filesで脚本・監督を務めたエピソードについて

Creating Episodes That Re-Think THE X-FILES

By Paula Vitaris

Special thanks to Cathy at Chimerical Publications

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THE X-FILESの"The Unnatural" と "Hollywood A.D."でDuchovnyはとても有望な脚本家、監督としての才能を現した。

野球とエイリアンについて描いた暖かく優しくユーモラスなストーリーの"The Unnatural" はSeason6でも傑出したエピソードだ。
"Hollywood A.D."の中でDuchovnyはモルダーとスカリーが捜査するミステリーとハリウッドプロデューサーを描き、その中に出てくる「映画」はshowの中で最も愉快なパロディーのひとつだった。

Season2でDuchovnyは"Colony""Anasazi"の2つのエピソードでChris Carterと共に脚本のクレジットに掲載されている。
(後者では構想にも関わった)Season3の"Avatar"、season4の"Talitha Cumi"でもstory creditに迎え入れられている。)
いくつかのシーズンが過ぎてから彼は自分自身で脚本を書くことについて考え始めた。

「僕には自分が脚本を書けるという保証も自信もなかったんだ。」Duchovnyは言う。
「34歳か35歳の頃、僕はその自身を持つ事はないと思っていた。僕には良いアイデアがあった時はそれを脚本家達に伝えなければならなかった。
自分のアイデアを脚本として書くまでに6年もかかってしまったよ。」

Duchovnyが初めてChris Carterと共に"Written by"とクレジットされたのはSeason6の"Amor Fati"だった。
その頃にはDuchovnyは野球に恋したエイリアンのエピソード"The Unnatural"の脚本を独りで書き始め、それを自ら監督する事を決めていた。

「満足だったのは誰の助けも借りなかったこと。5年間の番組での経験が僕の良い先生として僕を導いてくれたんだ。
何よりもX-Filesは良く組み立てられたストーリー構造を持っている。だから僕の先生のようだよ。それが僕がやって一番満足したことだ。」

DuchovnyとCarterは共に野球が好きでいつか野球のエピソードを書きたいと思っていたが、なかなか良いストーリーをみつけられなかった。
そんなある日の朝、DuchovnyがThe Unnaturalの最初のシーンのモルダーのように新聞を読んでいると、Joe Baumanというマイナーリーグのプレイヤーの記事が載っていた。
Baumanはガソリンスタンドの経営者で1954年、長い間忘れ去られていたLonghornリーグの今はなきRoswell Rocketsでプレイしていて、72本のホームランと224打点、平均打率.916という記録を持っていた。

「彼はニューメキシコのロズゥエルでプレイしていたんだ。とてもおかしかった。
そこで僕は考えたんだ。もし彼がエイリアンだったら?70本のホームランを打つ彼がエイリアンだった。エイリアンの野球選手―これが僕のストーリーだ。

僕はこのアイデアを妻に話した、そして次の日の朝起きて彼女に言ったんだ、
『もし黒人のエイリアンがいて、彼が黒人になっているのはプロチームに行って見つかるのが嫌だったという理由だったらどうする?』ってね。
それで、ストーリーのつじつまがぴったり合ったのさ。」

エイリアンの過去を表現するには回想シーンが必要だった。

「その昔エイリアンの野球選手Exley(Jesse Martin)は黒人になった。
もし野球での人種差別廃止の後だったらストーリーは意味をなさなかっただろうね、もし人種差別廃止の後だったら彼は彼自身が望もうとも望まなくとも発見されてしまっただろうから。」

Duchovnyは言う。「僕はこの国の黒人野球選手の遺産の一部である喪失感が好きなんだ。
僕らが名前も知らない選手でもBabe RuthやLou Gehrigや有名な選手と同じぐらい素晴らしい選手がいたんだよ。」

回想シーンはモルダーの出番を減らし、Duchovnyに製作と監督をする時間をもたらした。

モルダーがスカリーにバッティングを教える夜のシーンはとても素敵なシーンだ。モルダーがスカリーをからかい、スカリーが一緒に楽しく笑うシーンはとてもかわいらしい。
しかしそのシーンはモルダーがスカリーに彼が今回の捜査で知ったことを伝えたい気持ちも表現していたのだ。

このエピソードの最初のモルスカシーン、土曜日をオフィスでリサーチに費やしているモルダーとそれに付き合わされた不幸なスカリーが豆腐アイスを食べる平和な週末のシーンもそれを表している。
Duchovnyはこれらのモルダーとスカリーのシーンで二人のキャラクターのための暖かくて楽しいシーンを書く機会を得たのだ。

「僕はモルダーとスカリーの会話をもう聞き飽きていたんだ。
スカリーが『私は科学者よ。私は科学を信じるし、科学が私に教えてくれるわ。』と言えば、モルダーは『僕は自分の直感を信じる、直感こそが教えてくれるんだ。』と答えるだろう。
僕は彼らに実際にあるような会話をしてほしかった。セリフの中で彼らの発言や会話よりも、彼らの内部に宿っているものを言わせたかったんだ。」

監督としてのDuchovnyは最初のカットを撮り、そこで初めて編集室で作業するという経験をした。"The Unnatural"の編集者はLynne Willinghamだった。

「僕達はスケジュール上必然的にまだ撮影が進行している中で編集を始めたんだ。
しかし、僕はあらかじめ脚本を持っていた、僕は数カ月前から準備していたんだ、そして何が必要かわかっていた。
もし僕が何か撮り損ねていたら編集を始めているLynneは僕に連絡してくるだろう、そうすれば僕には戻って撮り直すチャンスがあるんだ。

外で撮影する時、カメラをどこに置くかは無限の可能性がある。
The great thing about the editing room is that for better or for worse, once you're in it, you only have the shots you took, and you have to make it work from that.... It's kind of like growing up.
You're like, Okay, well, fuck, I'm not going to be an astronaut, let's learn how to fly a plane.」

Duchovnyが"The Unnatural"を監督することの決意は、彼が時折感じるshowのストーリーラインと彼のキャラクターを管理できないー世間に認められた俳優がテレビシリーズの中では「あきらめなければならない」ー不満から生まれた。
監督することは自分の脚本を守る方法だと気付いたのだ。

「監督することは脚本を書く過程の一部なんだ。それが脚本の完成であり、自分のビジョンが達成されることを確かめる方法なんだ。
僕はこのshowの製作に失望していたんだと思う。それは音楽みたいなものさ。誰かにこれをどういう風に音を出すか、どうすべきか伝える、そして相手がうなずくと、僕らは楽譜の同じページにいると思う、同じ言葉を話している、
しかしそれは決して同じように出てこないんだ。だから良い悪いに関わらず僕はそれをずっと実行する奴になる。僕は誰か他の人にまかせるつもりはないよ。」

彼は視覚的にショットを考える能力がとりわけ弱いことを自認している。

「僕はとりわけ覚えが悪いんだ。平らな紙の上に3次元のものを描くことさえ出来ない。
出来ればいいなと思うよ。だから僕は3次元の空間でどうやって人々を動かすか考えると とても心配だった。
僕は人々を適切な場所に配置できるか心配だったんだ。

僕が持っているのはストーリーをどのように表現するかという直線ではない非線形の.感覚だ。
僕はそれが'The Unnatural'ではExleyが赤い血を流した瞬間、'Hollywood A.D'ではプラスチックのボールでゾンビが踊った最後の瞬間にあると思う。
人は『このシーンは意味がない。なぜこれがここにあるんだ?』と言うけど僕は『それは詩的な感覚だからさ。』と答えるだろう。

and I think when you tell a story visually you're telling it poetically. You're not telling it like a literal narrative."」

"The Unnatural"は彼が最初に監督した仕事だったが、Duchovnyはシリーズで新しい監督に通常は与えられるどの援助も受けなかった。

"Traditionally, as a sop, TV producers will let a long-time actor on a series direct, but it's letting a monkey paint,"

Duchovnyは笑う。

"The idea is, 'Oh, we've got this mechanism on THE X-FILES in place and we won't let you fail,' which is encouraging, if also condescending.
When you actually go through it, you realize both that you can do it, and secondly, that you do need a lot of help.
Everybody who comes in to direct gets a lot of help, not just dumb actors who think they can direct."

"The Unnatural"はすぐにX-FILESファンの心をつかみ。視覚的なシャレとパロディー色の強いX-FILESの脚本家Darin Morganのエピソードと比べる人もいた。
Duchovnyは"Humbug" や"The Final Repose Of Clyde Bruckman" ,"War Of The 
Corprohages"を製作したMorganの仕事は多大な称賛に値するが人が思うほど大きな影響は与えていない、と主張する。

「Darinは映画界の出身で映像のすべてを知っている、僕は文学の出身だからね。その点で僕らはとても異なっているんだ、
でも僕らは二人ともなんとしてもshowのまじめさを覆したいと思っている点では共通していたのさ。」

Duchovnyが次に脚本、監督をしたエピソード"Hollywood A.D."は"The Unnatural"の悲哀と控えめなユーモアからうって変わって、風変わりで風刺的な二つの点ーモルスカの真剣な捜査とHollywoodへの風刺ーで作られた。
このエピソードはDuchovnyの原案ではスキナー副長官を軸としたストーリーだった。

「Mitchという素材が十分に活かされていなかったから、僕はいつも彼を題材として書きたいと思っていたんだ。」

当初、Duchovnyはモルダーとスキナー、そして二人の引退したFBI捜査官を使ってMIDNIGHT RUNのような話にしようと考えていた。

「そしてそれが"Hollywood A.D."に変わったんだ。」

"Hollywood A.D."の中でスキナーがとりわけ際立った瞬間は彼とモルスカがHollywood hotelのそれぞれの部屋のバブルバスで3分割された画面でPILLOW TALKのように電話で会話するシーンだ。

"Hollywood A.D."には、早口で周りが見えていない、一見して典型的な映画業界のプロデューサーWayne Federman(演じたのはコメディアンのWayne Federman)が登場する。
モルダーとスカリーはFedermanが帰ってくれることを望んでいた。
しかしFedermanが、モルダーが信じることが大好きで、スカリーはモルダーが信じることを信じないことに夢中だということを逆説的に述べた時に、彼らはHollywoodの常連の口からさえ賢明な言葉が出ることに気付いた。

「このアイデアはハリウッドへの皮肉だった、だけどあまりにやさしすぎた。」
彼は言う。「ここにはたくさんの俗物がいる、だけどたくさんの教養のある人もいる・・・それがHollywoodをcrazy townにしたんだ。」

Duchovny added that he took pride in "throwing the case away, because I knew people would want to see the whole story.
I like it that itユs so good I'm going to throw it away."

"The Unnatural"や "Hollywood A.D."はモルスカが一緒に彼らが目撃したものやそれが
意味するものを分かち合って終わる。
似通った組み立てにもかかわらず、どのエピソードの最後にもモルダーとスカリーで異なった見解になるとDuchovnyは感じていた。

「ゾンビダンスで終わる"Hollywood A.D."や"The Unnatural"はそれらとは少し違っているんだ。

'The Unnatural' is more integrated into the frame of the characters in the show.
'Hollywood A.D.' is more of a release and happens behind their backs; they sum up the story in the way they think it was, and then the story sums up itself with the way 'it' is.
Mulder and Scully get what they need to get, but they still underestimate the power of Hollywood."」

Duchovnyはこの先、THE X-FILESの脚本、監督をする予定はない。

「THE X-FILESの素晴らしいところはテレビで映画を製作しているような経験を積むことが出来ることだ。
I don't see myself going into television to try to create characters that could sustain seven years' worth of shows.
僕は2時間ものの脚本を書いたり、監督することが好きなんだ。僕は僕の人生でそれをすべきだと思っているよ。」

end

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